教育の4つの理想

センター試験の歴史

教育の議論を巡っては、4つの理想があります。

子どもの理想保護者の理想産業の理想公共の理想、の4つです。

議論がどの立場からのものなのか、整理しておくと、教育が理解しやすくなります。

目次

子どもの理想

1つめは子どもの理想です。この考えのもとでは、教育の目的は、自己実現です。なりたい自分になるために、子どもは進んで教育を受けようとします。

子どもの理想の追求は、学習の推進力になりますので、できる限り尊重されるべきですが、その一方で、子どもの理想だけを信じて、放任しておくと危険な場合もあります。無知にもとづいて行動している場面もありますし、子どもたち同士が、ふとしたことで争いあう場面もあります。

教育には、子どもの自由を尊重しながらも、同時に子どもを適切に導いていく力が求められます。

保護者の理想

2つめは保護者の理想です。この考えのもとでは、教育の目的は、愛と投資です。子どもの将来が良いものであってほしいとの願いが、子どもに教育を授けます。

教育環境が充実すればするだけ、子どもの学習の質は間違いなく向上します。また、親の期待が高いほど、子どもの能力も高くなることが実証されています。その一方で、保護者の理想は、過保護や押しつけといった形になってしまうと、子どもの理想と衝突する場面も生まれます。

ちなみに、歴史的には、保護者が子どもに教育を受けさせるべきとの考えは、日本では明治に尋常小学校が始まるまでは、当たり前ではありませんでした。それまでの多くの家庭では、子どもはまず労働力であり、わざわざ学校に行かせることに反対する人間も存在したことを、忘れてはいけないでしょう。

教育には、保護者に適切な情報と助言を与えることで、保護者の良き相談相手であることが求められます。

産業の理想

3つめは、産業の理想です。この考えのもとでは、教育の目的は、競争力の獲得です。より良い教育とは、子どもの将来の経済的な基盤を支えるものであり、また産業がさらに発展するための人材を提供できることです。

人間の能力開発には、時間とお金がかかることは事実なので、その費用を企業が個々に負担するよりも、教育があらかじめ能力開発の役割を提供できれば、効率的です。その一方で、競争という市場原理を教育現場に持ちこめば、子どもの教育を受ける権利から、公平さが失われる恐れもあります。

教育には、子どもの競争力の獲得とともに、教育を受ける権利の公平さを守るように努めることが求められます。

公共の理想

4つめは、公共の理想です。この考えのもとでは、教育の目的は、公共の創出です。教育は公共性のある人間の育成を通して、社会がうまく機能するための基盤を整備します。

人間の公共性は、目にはみえないものですが、毎日を安全に暮らせる治安、言語を用いてやりとりのできる基礎学力、とりわけ嘘をつかないことや他人への思いやりなどの生活習慣は、人間の長期間の学習成果です。公共の品質を維持しながらも、その一方で、権力の濫用によって、社会統制が強まりすぎる恐れもあります。

教育には、公共性の創出とともに、権力の公正さが求められます。

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