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固定観念とは
固定観念(こていかんねん)は、集合の性質です。
また、集合の性質から、集合の要素の性質を、推論するために用いられるヒューリスティクスでもあります。
例えば、ある社会集団の性質から、その集団に所属する個人の性質を、推論する場合に、固定観念は用いられています。
なお、固定観念は、ステレオタイプ(英:Stereotype)とも訳されます。
固定観念とは
固定観念は、基本的にはある集団の性質を指します。
例えば、ある集団を、高校生に設定すると、「高校生はラーメンが好き」は、固定観念です。
ある集団を、日本人に設定すると、「日本人は白米を食べる」は、固定観念です。
ある集団を、人間に設定すると、「人間は仕事をして働く」は、固定観念です。
固定観念は、現代の情報社会を理解するために、重要な言葉です。
固定観念の発生
固定観念が生まれるのは、私たちが経験によって学ぶからです。
例えば、私が下北沢の街を歩き、ラーメン屋さんを眺めると、多くの高校生が楽しそうに屋台を占拠しています。そうすると、私はラーメン屋さんのお客さんは高校生が多いと知ります。
さらに、「この前、ラーメンを食べた」と報告する高校生がいます。「最近、ラーメンにハマりまくり」と熱弁する高校生もいます。ラーメン屋さんの店主にたずねても「お客さんの半分は高校生だぜ」と誇らしげです。
このような経験を繰り返すことで、私のなかに、「高校生はラーメンが好き」という固定観念が生まれます。
専門的な言葉でいえば、固定観念は、帰納的な知識です。
固定観念の限界
そこへ、高校生であるあなたが現れたとします。
私はいきなり、あなたに言います。「ずばり、あなたはラーメンが好きですね」。
あなたが本当にラーメンが好きなら、まったく問題なく、会話は進んでいくはずです。
ところが、あなたが不愉快になる可能性もあります。あなたが本当はラーメンが好きではないのに、私が一方的に
ラーメンが好きだと決めつけてくるからです。
悪いのは、私でしょうか。それとも、あなたでしょうか。
集団の性質と個人の性質
この場合、誤っているのは私です。
どのような点が誤っているかというと、固定観念が、集団の性質だと、忘れている点です。
「高校生はラーメンが好き」だからといって、必ず「あなたがラーメンが好き」かどうかは、推論できません。
集団の性質である固定観念によって、あなた個人の性質を推論しようとしても、限界があります。
もちろん、集団の性質と、個人の性質が一致している場合もあります。しかし、「いつも必ず」一致していると考えるのは、誤りです。
固定観念の正しい用法
固定観念を用いる場合、集団の話なのか、個人の話なのか、注意が必要です。
そして、集団の性質から、個人の性質を推論する場合は、誤る可能性があります。
固定観念を用いた推論は、速度を上げる代わりに、精度を下げる、ヒューリスティックな推論になります。
固定観念の理解は、現代の情報社会で扱う、印象・指標・広告・ブランド・信用能力、などの基礎になっています。
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