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イノベーションとは

イノベーション(英:innovation)は、新結合とも翻訳され、経済活動によって社会が変革されていく現象である。

イノベーションの20世紀の事例として、冷蔵庫・自動車・テレビ・携帯電話、などが挙げられる。

イノベーションは、オーストリア出身の経済学者、ヨーゼフ・シュンペーター(英:Joseph Schumpeter 1883--1950)によって、提唱された。

イノベーションと発明の差

イノベーションを理解するために、発明(英:invention)と比較してみよう。

図1 味噌樽 新しい製法の発明だけではイノベーションとは呼べない

発明は、新技術を開発することだ。例えば、味噌の新しい製法を開発することは、優れた発明だ。

しかし、新技術の味噌を供給するだけでは、イノベーションとは呼べない。

イノベーションは、もっと広範囲な変化だ。

今度は、冷蔵庫の発明を考えよう。新技術によって市場に冷蔵庫が供給されると、家庭は生活が便利になるので、冷蔵庫を購入する。

すると、冷蔵庫は電気を必要とするので、国家はインフラ投資として、電線の整備が求められる。

冷蔵庫が安定利用できるようになると、家庭の食習慣が変化する。食材が冷凍できるので、取り置きが可能になり、調理の時間と食事の時間を、調節できるようになる。

図2 冷凍マグロの運搬

さらに、企業は、それまで存在していなかった冷凍食品という新商品を開発し、新しい市場を開拓する。冷蔵庫を船舶に搭載すれば、遥か異国の食材ですら、家庭に供給できるようになる。

最後に、国家は、貿易品目や輸出入関税について、条約の締結が求められる。

以上のようなイノベーションを通じて、江戸時代には、白米と副菜だけだった日本列島に、アボガドとココナッツがあるのである。

発明は、技術という点に、変化が限定されていた。対して、イノベーションは、企業・家庭・国家などの経済主体が、一丸となって変化していく、より広い現象だ。

企業は、販売商品を変化させ、販売活動を変化させる。家庭は、生活習慣を変化させ、消費活動を変化させる。国家は、投資対象を変化させ、法律規制を変化させる。

演習問題

自動車・テレビ・携帯電話、から1つの新技術を選び、イノベーションの過程を、500字以内で描きなさい。

なお、企業・家庭・国家の3つの経済主体について、言及しなさい。

自動車のイノベーション

企業が自動車を発売し、家庭は自動車を購入する。自動車が快適に走るためには、アスファルトの道路が必要なので、国家は予算を組み、道路を整備する。

図3 自動車の需要のために建設される道路  風景が変貌する

安定して走れる道路が完成すると、家庭はドライブという趣味が選べるようになり、個人消費が変化する。都市から離れた地域に、企業は観光地を開発できるようになる。観光地には広い土地が必要となるので、国家は土地整備のための立法が求められる。

自動車の数が増えると、交通事故が起こりやすくなるので、国家は運転免許制度を立法する。交通事故に備えて、企業はシートベルトやチャイルドシートを開発し、自動車保険も開発する。

ドライブデートという文化が生まれ、家庭の個人消費が変化する。モテる男性は自動車の運転が上手で、モテる女性は送り迎えが当たり前、という価値観が生じる。顕示効果のために、企業は高級車を供給する。暴走族を取り締まるために、国家は警察に特別部門を用意する。

自動車によるイノベーションは、モータリゼーション(英:motorization)とも呼ばれた。

テレビのイノベーション

家庭は娯楽のためにテレビを購入する。国家は放送法を制定し、NHKは標準語の普及を後押しした。NHKやBBCは、今でも国家内の正しい言葉遣いの基準として、参照されている。

テレビの普及率が上がると、企業は工場で大量生産できる商品を、効率的に販売するために、テレビの広告を利用する。注目を保存する手段として、芸能人の制度が確立し、注目を売買する新市場が出現する。

家庭の消費文化が均質化していく一方で、マーケティングの結果、情報環境という点で、家庭の階層化が進展した。

携帯電話のイノベーション

固定電話は各家庭に1台だったのに対して、携帯電話は各個人に1台となり、家庭の通信費は増大した。

市場のサービス競争のために、企業は次々に新しい携帯電話モデルを投入し、通信環境を全国津々浦々まで整備した。

国家は電波法を整備し、国際通信ための規格が整備される。

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