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理解と解決
人間は、問題を理解したい場合と、問題を解決したい場合がある。
例えば、電子レンジの仕組みを理解したい人間と、電子レンジで料理をしたい人間には、どのような差があるのだろうか。
電子レンジの仕組みを理解したい人間は、電子レンジが作動する科学法則に興味がある。したがって、電子レンジの仕組みを教授するべきだろう。
電子レンジの仕組みを理解したい人間に、電子レンジのダイヤルをいくら回し、「グラタンにはこのボタンを押す」、「エビの解凍にはこのボタンを押す」、と伝えても、もどかしい反応になるだろう。
対して、電子レンジで料理をしたい人間は、電子レンジがどのように料理に役立つかに興味がある。電子レンジが作動する科学法則は二の次で、まずはどのように電子レンジを設定すれば、おいしい料理ができるのかに、興味がある。もっと言えば、たとえ電子レンジを支配する科学法則を理解しなくても、料理さえおいしく完成できれば、事が足りる場合だってあるだろう。
電子レンジで料理をしたい人間に、電流と抵抗の関係を教授しても、もどかしい反応になるだろう。
電子レンジについて問題を抱えている人間は、上のように2種類が存在する。検討していけば、さらに種類は増えるだろう。
問題と本質
上の事例から、私たちが他人の問題に答えることは、単純ではないと、気づきたい。
他人の問題に答えるためには、まずは問題の本質に加えて、理想像を理解したい。
電子レンジの仕組みを理解したい人間は、電子レンジの科学法則を理解して、それから、電子レンジを自作したり改造することを、理想像としている。
対して、電子レンジで料理をしたい人間は、おいしい料理を作れるようになることを、理想像としている。
解答と提案
相手の理想像を理解すれば、私たちは他人の問題へ解答するだけではなく、もっと優れた提案ができるようになる。
例えば、電子レンジの仕組みを理解したい人間が、本当に知りたいのは、「目の前にある1つの電子レンジ」ではなく、「あらゆる電子レンジに当てはまる法則」だ。そうならば、「電子レンジに限定される必要はなく」、より広く「人間の生活を豊かにする科学技術」も、知りたいかもしれない。そこで、提案してみましょう。電子レンジの科学法則だけではなく、より広い生活家電の科学法則を、提案してみましょう。
同じように、電子レンジで料理をしたい人間には、電子レンジの使い方だけを答えるのではなく、電子レンジ以外にも、調理に役立つ家電が存在していると、提案してみましょう。
以上のような視点に立てば、解答とは目の前の問題を解決する技術であり、提案とは問題を再定義する技術と、考えられます。
そして、優れた提案をするためには、しっかりと問題の本質を把握することが大事になります。
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